陶芸の板作り・たたら作りの成型方法

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前略 行雲(コウウン)より。

NHK朝ドラでの陶芸の「スカーレット」がそろそろ終盤に差し掛かってきましたね。
最初の頃はあまり真剣に見てなかったのですが、最近は結構まじまじと見てしまいます。

今月で終わりでしたかね。
見始めた頃に終わってしまうという。

もうちょっと続けて欲しいですが、残念ですねえ。
最後をどう締めくくるのかが楽しみです。

板作り・たたら作りでの成型方法

陶芸での板作り・たたら作りの方法です。

まず固めの粘土を用意します。
柔らかい粘土しかない場合は、切ってから、やや乾燥させれば大丈夫です。

粘土を平らに叩いて広げます。

今回は土練機から出た土をそのまま切っています。

板作り・たたらの設置

この粘土を薄くスライスしていくのですが、使う道具はしっぴきの針金バージョン。

たたらで使うしっぴき

あとは、たたら板と呼ばれろもので、これらは市販されています。
板の厚さは5ミリと7ミリがあるので、両方揃えておくといいでしょう。

板作りの道具

使い方は簡単。
広げた粘土の横にたたら板を置いて、上記の切る道具で切っていきます。

 

この時に親指を針金の上に置いて、更にたたら板の上に親指を置き、遠くから手前にスライスします。

たたらで切ってる様子

たたらで切ってる2

たたら板が一緒に滑ってくる場合があるので、自分の太ももの所で板をロックしておきましょう。

一度切ったら板を横にどけて、下の粘土を切っていきます。
これを底まで繰り返しましょう。

広げた粘土の大きさにもよりますが、概ね一回の作業で4、5枚は取れるでしょう。

取った薄い粘土は、別の板の上に乗せて、少し乾燥させましょう。

ただ、作業を急いでいる時は、そんな時間も無いので、ドライヤーなどで乾かしましょう。
それらが面倒な時は、天日に置けば、すぐに頃合いのいい固さになります。

この粘土を型にのせましょう。

そのまま乗せると粘土が型にくっついてしまうので、間に手ぬぐいをはさみます。

たたらで使う型

たたらでの成型1

たたらでの成型2

 

型に沿って粘土を成型したら、置き板に載せ替えます。

 

粘土がくずれないように、粘土と板の間にマクラをかまします。

たたらでのまくらをかます

板をひっくり返して出来上がり。

たたらでのひっくり返し

この方法で、どんどん量産していきましょう。

たたらでの完成1枚

たたらでの完成量産

型を変えれば、いろんな形の器ができます。

楽しいですよ。

板作り・たたら作りの特徴

板作り・たたらの特徴としては、ロクロにはない形状を作るのに適しています。

ロクロだといわゆる円状のものは得意なのですが、四角だったり三角だったり、扇型なとは、たたらで作った方が楽にできます。
(ロクロでも作れないことはないです。切ったり歪めたりすれば可能)

また板作りは失敗が少ないので、その気になると量産が可能です。
ロクロは失敗なく数を引くのは大変ですが、板作りなら経験がなくても、すぐに形になる作品を作ることができます。

ある意味、手びねり、板作り・たたら、ロクロなどの代表的な陶芸の成型技法の中では、一番早く習得可能かと思います。
(極めるのとは違います。あくまでも普通レベルでの習得です)

さて、それらを踏まえた上で、いろいろな作品を見てみましょう。

板作り・たたら作りの代表選手は角皿

まずはこちら。
黒天目の角皿
黒天目系の釉薬で焼かれた板皿です。

たたらで粘土から切り取った後に、マクラを入れて形を整えたものです。
不規則な形がいいですね。

釉薬も黒天目系の色合いがハッキリと出ていて光沢感もあり、素敵に焼きあがっていますね。

角型のお皿に関しては、板作り・たたら成型は非常に適しています。

角型の型紙さえ用意してしまえば、あとはその型に沿って作品を切っていけばいい。簡単ですね。
切った後は、オリジナルのイメージでマクラをかまして成型しましょう。

重なりを重視するのなら、4辺をそれぞれ均一に上げた方がいいです。
ただ、それだと面白みには欠けますね。

個性を出すのなら、作品それぞれに変化を付けてマクラをかましてください。
一方だけ上げたり、下げたり。何をするのもあなたの感性次第です。

名デザインを作ってみてください。

箸置きもできます

さて、お次はこちら。

織部の箸置き

シンプルですけど、織部で焼かれた箸置きです。

織部というのは緑色の釉薬で織部釉と呼ばれるものです。

斬新なデザインなどは織部で焼くと全体的に合いますね。

この箸置きのような箱っぽい作りも、板作り・たたら作りでの成型が適しています。

ロクロだとここまで角を取れませんね。

たたらでそれぞれのパーツを切り取って、少し固めてからドベでくっつけていきます。

ちなみにドベとは、粘土を水でゆるく溶いたもの。ロクロを挽いたときに出るアレです。

このドベは土と土をくっつける接着剤のような役割もするので、例えばコーヒーカップの取っ手を付ける時などはドベを使ってくっつけます。

この作品の場合は、箱の面通しをくっつけていますね。

板作り・たたら成型でぜひ作ってみてください。

板作り・たたら作りでのコーヒーカップ

お次はこちら。

黒天目のコーヒーカップ

ちょっと変わった感じのコーヒーカップですね。これも板作り・たたら作りなんですね。

取っ手からボディは一枚の薄い板状粘土です。
底の部分は別に作って、やはりドベでくっつけます。

水漏れしないように、念入りにくっつけましょう。
ちょいとシャレた感じのカップの出来上がりです。

白釉で焼かれた大鉢

最後はこちら。

白釉の大鉢

白釉で焼かれた大鉢ですかね。

これの底に水抜きの穴を開ければ、植木鉢にもちょうどいい大きさです。

板作り・たたら作りで薄く板状に粘土をカットして、丸っぽい型に上からかぶせます。

重力の影響で縁が下がりますので、お好みで歪めてください。

これ系の形はロクロでも可能ですが、歪み具合は真似が難しいですね。
それとロクロの場合は削りの工程が入るので、一手間余計に時間がかかります。

板作り・たたら作りなら、その日に完成までもっていけるので、時短にはちょうどいいでしょう。

ぜひ作ってみてください。

さて、こんな感じで板作り・たたら作りを楽しんでみてください。

ロクロではできないアジや形状が可能になります。

極めると面白いですよ。ぜひチャレンジを!

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