陶芸の手びねりの作り方と楽焼の茶碗について

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前略 行雲より。
さて、今回は陶芸の技法の一つである手びねりについて解説しましょう。
また、手びねりの代表である楽焼についても触れています。

陶芸の手びねりとは

陶芸の手びねりとはその名の通り、自分の手ひとつで作っていく技法です。
もちろん、道具として手回しロクロを使ったりするのですが、電気やモーターなどは一切使わず、手でひたすら作っていくのが特徴です。

電動ロクロは綺麗な形、端正な形になりやすいです。
土をセンターにすえて、モーターでロクロを回し、一定のスピードで作っていく訳ですから、自分の腕や手の位置を固定できてしまえば、形は端正に仕上がります。

一方手びねりは、モーターなどは使わないので、自分の手で一から作らねばならず、端正な形を作るのが難しくなります。

しかし、そこが手びねりのいい所で、指跡のゴツゴツ感や微妙なゆがみなどが、その器と長く付き合っていく上での味になります。

そんな手びねりの作り方を見てみましょう。

手びねりの作り方

ではまず手びねりの作り方です。

通常のロクロのセンターに土をすえて、親指で土の真ん中に穴を開けていきます。

ロクロを少し回して、開けた穴を徐々に深くしていきます。

ある程度深さが取れたら器の側面を、親指と他の4本指ではさんで薄くしていきます。

この時に普通にはさんでいると、どんどん器が広がってしまいますので、両手をくっつけていくイメージで進めてください。

ある程度の形ができてきたら、底を整えていきます。専門の道具が道具屋さんで売っているので、この手の道具を使うのもいいでしょう。


(道具を使わなくても作れますので、あれば作業が楽という程度でよろしいです)

これを使って器の底の内側と外側を整えていきます。

それが終わったら、またロクロの上に器を戻して、全体をていねいに整えます。

最後に飲み口があたる口縁部になめし皮を掛けます。

ここの口縁部のゴツゴツ感が嫌な人は、弓できれいにカットしてからなめし皮を掛けてもいいです。

手びねりはいくつか作り方がありますが、前記の方法が一番ポピュラーな定番手法となります。

他には、土を円板状にしてロクロにすえてから縁を持ち上げて作っていく方法もあります。

動画にその方法での成型法も載せていますので、興味のある方はご覧ください。

手びねり動画はこちら。

手びねりの器の有名どころ、楽焼について

さて、ここからは手びねりの器の良さを語っていきましょう。

まず、手びねりでの代表となる器と言えば、何といっても楽茶碗があげられるでしょう。

千利休の茶碗師であった、楽長次郎が創始者の楽焼の茶碗です。
楽茶碗は博物館などにもありますので、ぜひご覧になられるとよろしいかと思います。

楽焼は、現在の主流である専用の陶芸窯で、土と釉薬を1200度オーバーで焼いていくという焼成法ではなく、茶碗をサヤに入れてその周りに炭を置き、フイゴで吹いて温度を上げていく技法で焼いていきます。

創始者の楽長次郎は瓦師だったので、あえて専用の陶芸窯を使わなかったのでしょう。
(ちなみに当時の瓦は、お城や寺社仏閣などでしか使われていない高級素材なので、言わずもがなの花形職業であったようです)

また、大量に焼くのではなく、千利休の専属ですから、ひとつひとつを丁寧に焼きたかったのでしょう。
結果、手びねりで包み込むように成型し、サヤの炭で焼く技法を取ったのだと思います。

この方法ですと1200度オーバーまでもっていかずに、1100度前後で焼いていたと思われます。
その温度で溶ける釉薬を作り、少し柔らかい雰囲気を出したかったのでしょう。

かつてNHKの特番で15代の楽吉左衞門さんの特集があったのですが、土は昔ながらの今でいうスタンパーのようなものでついて作っていました。

釉薬に関しては、京都の加茂川石を使って、それを砕いたものを使うようです。
実際の石は紫系の色合いなので、少し加工して黒くするのでしょう。

今と違って宅配便など無い時代ですから、その頃の作家(陶工)は地元の土や石などを使って陶器を作ります。

楽焼は京都ですから、地元京都の土と加茂川の石が取れやすかったのでしょう。
結果、あの独特の手法で焼く技法にたどり着いたのだと思います。

さて、今でも楽焼を焼く作家は、この伝統的な手法で焼く方も多いです。と言うより、この技法がやりたくて楽焼に取り組むのではないでしょうか。

今の陶芸窯では当時の楽焼に似た作品は取れないでしょう。
まあ、当時のものに似せたものがいいのかどうかは別にして、炭とフイゴで焼くっていうのは、それなりの面白さ(陶芸やってる者からすると)がありそうです。

数年前に都内の美術館で楽焼の展覧会があったのですが、入り口の最初に初代の楽長次郎の作品が飾られていました。
見せ方もよかったですね。

初代から始まり、2代目、3代目と続き、最後に現在の15代目、16代目の作品が並べてありました。

15代目の方の作品は焼貫という技法で、多分1200度オーバーで焼く方法も取り入れたと思います。

伝統を継承しつつ、新しいものにも挑戦していくといく作家魂が感じられて非常によかったですね。

京都の楽美術館に行けば、常設されていると思いますので、お近くの方はぜひご覧ください。

陶芸の手びねりの作り方と楽焼についてのまとめ

さて手びねりの作り方と、その代表である楽茶碗について書きましたが、現代作家の方でもロクロを超越した手びねりの良さを追求している方も多いです。

やはり手びねりには人を惹きつける独特の何かがあるのでしょう。

一般の方も陶芸と言うと電動ロクロが思い浮かびますが、土をこねて成型するという古来の手法は手びねりから始まったわけですから、この技法もぜひ習得して、陶芸の巾を広げて欲しいと思います。

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